2024/08/19 Mon.
気になる部屋を5件までは絞れたものの、もうこれ以上は実際に見てみないと分からないという所まで来たので、今日明日で内見に行くことにした。予約した不動産仲介業者の事務所に行き、その場で候補をさらに絞った。第一候補だった物件は室内洗濯機置場がないとのことで、第二候補の物件を見に行くことになった。こうして一人で物件を探すのは何もかも初めてだからと念入りに調べたり準備をしてきたのを見て、担当の業者さんに「几帳面」と言われた。目当てのマンションに着き、写真を撮ったり、あちこち見たり。
・郵便受け周りはまあまあ片付いていると思ったものの、ポストの上はそうでもない。何かの壊れたパーツや、なぜか割った竹などが雑然と置かれている
・マンション内の掲示板はちゃんとしていて、町内会のお知らせなどが貼ってある
・部屋はすごく狭い。1Kってこんな感じだったな
・壁が漆喰のような質感に白く塗ってあってかわいい
・退去後の清掃がまだだから汚いそうなんだけど、「こんな汚い状態で退去していいんだ…」とカルチャーショックを覚えるほど汚い
・東向きの大きな窓からは、すぐ外に大きな街路樹のイチョウが見える。良いかも
・角部屋なので二面採光。観葉植物を置くのに良さそうな小さい出窓がある
・エアコンはあまり古くない型だから大丈夫と言われたものの、後から自分が撮った写真を見たら「2013年製」と書いてあった。不信感が募る
・インターホンにカメラはない
・台所の流し台がとにかく小さい
・台所や浴室の蛇口がレトロな捻るタイプ
結局、この1部屋だけを見てここに決めた。隣の部屋も空室だからと見せてもらえたけど、ここもやっぱり清掃がまだで、煙草のようなきつい匂いが残っていた。事務所に戻り、手続きをする。何枚も紙を書かされるのかと思いきや、今の時代はデジタルで入居審査の申し込みができるという。個人のスマホを持っていることが前提で話が進むのか…。流れで精神保健福祉手帳を持っている年金受給者であることを伝えると、いくつか質問をされた。病名は社交不安障害で、対人恐怖症のような症状だということ、主治医の許可は得ていることなどを説明した。「目を合わせて話せているし、普通に見える」と言われて、どう捉えていいのか複雑だった。とにかく部屋は決めたので、後は審査が通ることを祈るのみ。
2日間かけて部屋を探すつもりだったのに、結局初日の昼過ぎには終わってしまった。今から高速バスを予約して日帰りで帰ることもできるけど、ホテルのキャンセル料が八割かかると思うともったいない気もするので、明日ゆっくり帰ることにした。まだ明るいうちにホテルにチェックインして、お惣菜屋さんのお弁当を食べ、ユニットバスじゃないことを幸いに湯船にお湯を貯めて、アメニティの入浴剤を入れてのんびり浸かった。お湯がすごく熱くて、長いこと湯船に突っ立っていたものの(足湯と言い張る)。さっぱりしてから、丸善で買ってきた小鳥書房の『ワンルームワンダーランド』を読み始めた。一瞬頭をよぎった「こんなに古くて狭い部屋でかつかつの暮らしをするために自立したのかなってむなしくならないといいな」という考えが、段々遠く離れていく。生活への不安も期待も、全部ひっくるめて楽しみたいという気持ちの余裕が出てきた。自由は何物にも代えがたいものなんだし、10年振りの一人暮らしを謳歌できたらいいなあ。
2024/08/20 Tue.
帰りの高速バスの時間を早めて、少し買い物をしてから帰ることにした。新生活に必要な物、それも地元じゃ買えない安くてかわいいデザインのものを買おうかとも思ったけど、かさばるし、とにかく部屋が狭いことを思い知らされたので、ひと通り最低限の物を持ち込んでからおいおい買い足していった方が良いだろう。バスの中でおにぎり専門店のおにぎりを食べ、『ワンルームワンダーランド』の続きを読んだ。
2024/08/21 Wed.
一昨日見た1Kの部屋が本当に狭かったのが衝撃的で、あの狭い部屋に住むとなると持ち込める本の量がかなり限られることを思い、蔵書の整理をした。ところが、読まなくなった本は最近ブックオフに売ったばかりだったので、手放そうと思える本がない。どうしても手元に置いておきたい少数精鋭を段ボール箱2箱分に詰めたものの、そこから作業が進まない。子どもの頃に大好きで読み込んだ本や、大学の文学部の授業で教科書として使っていた本など、どれもこれも思い入れがある本ばかり。人生でいつかは手放すとしても、まだ今はその時じゃないと言い聞かせ、当面は実家に置かせてもらうことにした。長い人生、もっと広い部屋に住める可能性もゼロではないけど、今は4万円より高い家賃は払えないので、狭い部屋に住むしかない。金がないということは、本を買い集めることはおろか満足に本を所有することもできないのか…。それから、大量の紙類の整理もした。こちらはどんどん捨てられたので、資源ごみの袋3つ分にもなった。「生きていると紙が溜まる」という人生の真理のひとつに気付けた。
2024/08/22 Thu.
引き続き断捨離。迷った物はどんどん捨てている。そうやって引っ越しに備えて張り切っていたら、不動産仲介業者さんから電話がかかってきて、入居審査が通らなかった旨を伝えられた。正確に言うと、家賃保証会社の審査自体は通ったものの、マンションの持ち主であるオーナーに断られたらしい。仲介業者さんいわく、次回は障害者手帳と障害年金があることを言わずに物件を当たってみましょうとのこと。「そういうこと」なんだと思う。なんだかなあ。私としては訊かれたことに答えただけだし、別に隠すようなことでもないと思っているので、釈然としない。「花粉症ですか」「頭痛持ちですか」と訊かれてはいと答えるのとなんら変わりはないと思うのに。社会勉強になったと思って納得したいけど、こんなこと別に勉強する必要なんかなかった。
我が家のとらちゃんの母猫である錆猫が、真っ黒な子猫を2匹連れてデッキに来ていた。外見はよく似た子猫でも、好奇心旺盛で勝手口の網戸に近付いてくるのと、臆病なのかなかなか姿を見せないのとがいる。野良猫ゆえにとらちゃんよりもひと回り小柄な錆猫は、悠々とデッキに寝そべって毛繕いをしていて、その様子をとらふくが興味津々で見つめていた。
2024/08/23 Fri.
この辺りに住んでみたいと思ってこだわっていた駅の周辺にはこだわらず、希望エリアをもっと広くして物件を探すことにした。ネットで物件を調べ、良さそうな部屋を5ヶ所に絞って、仲介業さんに連絡した。そのうちの1部屋をオンラインで内見して、今日のうちに入居審査の申し込みまで進んだ。よく考えてみると、今度の物件の方が大きい駅までのアクセスが良いし、1km圏内にスーパーが3店舗もあり、居室も多分1.5畳くらい広い。難点を挙げるならば、今回は2階なのでもう少し上の階だと良かったとか、窓の外に緑が見えないとか、その程度。今度は契約まで至れるといいなあ。そうでないと困る。
服と手芸用品の断捨離。「しばらく着ていないけどまたそのうち着るかも」と思って捨てずにいた服や、「今は使わないけどいつか使う時が来るかも」と溜め込んでいた布類を片っ端から資源ごみの袋に詰め込んだ。こんなに物を捨てるのは、大学を卒業した時に身辺整理のつもりで色々な物を捨てた時以来だと思う。あの時は「どうせ自分は近いうちに死ぬから」と鬱々とした気分でそうしていたけど、今は「これから住む新しい部屋で快適に暮らせるように、不要な物は手放さなければ」と前向きな気持ちでやっている。その対比がなんだかおもしろい。
2024/08/24 Sat.
少し離れた所にある大きい百均まで、自転車で買い物に行った。久し振りに自転車に乗ったので太ももが筋肉痛になりそうな予感があったけど、それにしても自転車ってなんて快適な乗り物なんだろう。歩くのに比べてすいすい進むし、風を切って走るのは気持ちいいし。私は満足に自転車を乗りこなせるようになるまで人の何倍も時間がかかったので、まさかこうして自転車を漕ぐことを楽しめる日が来ようとは、昔は思ってもみなかった。
2024/08/25 Sun.
畑で採れたミニかぼちゃがあったので、かぼちゃプリンを作った。かぼちゃをまるごと使ったプリンなので、中身をくり抜いたかぼちゃにかぼちゃ入りのプリン液を流し入れ、オーブンで湯煎焼きにした。見た目もかわいく、味もおいしくできた。
久し振りに、元職場の園芸店へ行った。植木鉢だけ買うつもりだったのに、つい観葉植物まで眺めてしまい、なんとマングローブの木が売られていたので誘惑に負けて買ってしまった。学名を検索すると、マングローブを形成する樹木のひとつであるオヒルギという木らしい。ひょろひょろとした今にも折れそうな苗木だけど、図鑑やテレビでしか見たことのないようなマングローブにある木が手元にあると思うと、どうにもロマンを感じてしまう。引っ越しに備えて植物はしばらく増やさないつもりだったのにと思う気持ちもあるものの、ここで自分の植物に対する情熱や知的好奇心を無碍にしてしまえば、それはそれで良くない気もするからと己に言い訳している。
『ワンルームワンダーランド ひとり暮らし100人の生活』(落合加依子・佐藤友理、小鳥書房)を読み終えた。とても良かった! 自分だけの生活を作っていく楽しみ、生活がままならないもどかしさ、それでも自分なりに生活をやっていこうと思う意思、そういうものをまるごと愛せるような気持ちになれる本だった。「一人暮らしがうまくいかなかったらどうしよう」という不安も、なんだか当然で自然なものとして受け入れられるような気がする。今度の入居審査は通るかなあ。