2024/11/04 Mon.
オーケストラの演奏会を聴きに行った。曲目はマーラーの交響曲第1番「巨人」、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死、リストのハンガリー狂詩曲第2番。オーケストラに関しては複雑な思いが色々あったけど、やっぱり生で聴くオーケストラはすごく良い。自分の楽器を失って、自分はもう演奏する側にはならないのだという安心感があるせいか、ステージの上と客席にいる自分とをほとんど切り離せて他人事として音楽を楽しむことができて、音楽を嫌いにならずにいられたことに安堵した。トリスタンとイゾルデを演奏会で聴くのは多分初めてだったけど、これが特に良かった。深い霧や幾重にも重なったヴェールの中を進んでいくような、泉の水がごぼごぼ湧き出している様子を見ているようなイメージが思い浮かぶ、神秘的で壮大な曲だった。こんなにおもしろい曲だったのかと思い、帰宅してからはYouTubeで何度か聴いた。マーラーの巨人もおもしろかった。4楽章の最後の方でパーカッションや金管が大暴れしているのが、特に楽しくて盛り上がった。アンコールの曲は曲名を知らない曲だったけど、いかにもニューイヤーコンサートで演奏されていそうな、多分シュトラウスだろうなと思う曲だった。
やっぱりクラシックの演奏会って良いなとしみじみ思い、他にも演奏会に行ってみたいと思い検索してみたところ、演奏会ではなくバレエの公演を見つけた。しかも、バレエ作品の中で私が一番大好きな「くるみ割り人形」! チケットが5,000円するのでちょっと迷ったものの、実際に見るプロのくるみ割り人形を見たらどれだけ心動かされるだろうというわくわく感が勝って、結局チケットを購入した。とても楽しみ。
2024/11/05 Tue.
一人暮らしを始めてからのここ一ヶ月は毎日のようにどこかへ出かけていたので、いい加減のんびりしておこうと思い、一日パジャマで過ごすことにしてみた。快適だし、洗濯物が少なく済むので良い。
むしょうに食べたくなって、晩ごはんに肉じゃがを作った。おかげで、今日という日が「特に何もしなかった日」から「おいしい肉じゃがを作った日」に格上げされた。
2024/11/06 Wed.
就労移行支援。手続きや面談などはしていないので、これは体験利用ということになるんだろうか? 目標を立ててそれに向けて何かをすると決まっている訳でもなく、ただ事業所に来て漫然と過ごしている。今日は職務経歴書の作り方についてのプログラムを受講した。テキストにある職務経歴書の例が、私のように無職期間だらけでぐちゃぐちゃじゃない「きれいな」職務経歴でむしょうに羨ましく、妬ましかった。仕事を辞めるに至った明確で分かりやすい理由があり、長い空白期間もなければ、いくつもの仕事を短期間で辞めてきたということもない。例に挙げられた架空の職務経歴書の持ち主にもその人なりの地獄があるのだろうけど(実在しない人物とはいえ)、他人の芝生の青さに容易に嫉妬する自分が恥ずかしくて情けなかった。プログラムが終わった後、何もせずに過ごす時間が30分ほどあり、つらかった。何をすれば良いかスタッフに尋ねれば良いのだろうけど、どのスタッフさんも別の利用者の対応をしているか、忙しそうに奥で作業をしているかだし、中途半端な時間ともなれば「休憩していてください」とでも言われる可能性がある。正式な利用はいつ始められますかと勇気を振り絞って訊こうかと思ったものの、見学初日に対応してくれたおそらく担当になるのであろうスタッフさんは途中から姿が見えず、話しかけられずじまいだった。
ぐったりと気疲れしながら、事業所を出てバスに乗った。午後はマンションの貯水槽清掃で3時間ほど断水になるので、図書館で過ごす予定にしていた。図書館の中をうろうろして落ち着けそうな隅の席を見つけ、まだ冒頭しか読めていない『ケルト人の夢』を開いた。幸い集中できて、3時間ほどかけてみっちり読書に励むことができた。3分の2ほど読み進めた。凄惨で残虐な描写もあるので、人間が嫌いになりそうだった。この後に何らかの救いがあると良いのだけど。
2024/11/07 Thu.
今日も一日パジャマで過ごし、2時間かけて『ケルト人の夢』の残りを読み終えた。すごい物語だった。人間の善性と悪性、信仰や神、愛国心、植民地主義、そうしたテーマについて考えさせられる内容で、読んでいて楽しいという感想が湧く作品ではないけど、良い作品だった。私は愛国心やナショナリズムというものを毛嫌いしていて、そういうものはなければないほど良いと思っていたものの、対するこの歴史小説の主人公はその愛国心やナショナリズムに燃えている。読み進めていくうちに、自分のルーツへの誇りの在り方のひとつなのだと理解を示せるような気がしてきた。他者を攻撃し排外主義を助長させる要因になりうる危険なものではあるけれど、自らのルーツに対する心情だと思えば、のどかな地元愛とも案外地続きなのかもしれない。また、他の国や人種に支配され従属させられている側のマイノリティ性について考える時、自分のルーツというものの重要性はより一層大きくなるんだろう。コンゴとアマゾン、そしてアイルランドの人々が置かれた不当な状況に怒りを覚えると同時に、自分が生まれ育った国はイギリスと同じように他国の人々を虐げる側であった歴史を思うと、やりきれないものがある。そして、パレスチナなどのように、現在進行形で激しく迫害されている人々がこの世界にはいる。
神の存在が一度も問題とはならず、むしろそれは確実であり、その存在のおかげで世界は秩序を保ち、すべてのものに対して、その存在の意義と理由を見出すことができる人々は実に運がいい。(p.415)
これは「確かに」と強く頷いた一文で、本当にそうだと思った。私は神のような絶対的な存在がはたしているのか自分自身で確かめたいと思っていて、宗教や精神作用性物質、トランスパーソナル心理学にその答えを求めたけれど、いずれもそれが「ある」という前提で話が進むように感じた。対する科学はというと、もちろんそういうものは「ない」とばっさり切り捨てられた世界観だ。自分が心の支えにする対象の存在の有無を疑うことなく、確実にあり揺らがないものとして信じることができたらどんなに救われるだろう。信仰の対象と信仰心が欲しいと願うこと自体が邪な気はするけど、実際そうなのだから仕方がない。
本の内容とかけ離れた俗な話題になるけれど、実際の「推し活」が「推し」に出会って初めて自然と始まるもので、商業ベースで語られるそれは「推し活をするために推しを探そう」と順序が逆になっているように、私の「何かを信仰したい」という欲求もそれと同じ気がする。自分が推しを本当に好きなのか、推しは実在するのか(?)といったことをぐるぐる考えず、ただ推しが好きというポジティブな感情だけでオタクができたらそれに越したことはない。とはいえ、推せる信仰対象には出会いたい。
2024/11/08 Fri.
就労移行支援。もしかして私の知らない内に、正式な利用に向けた手続きなんかがスタッフの間で進められているんだろうか。日本語ワープロ検定の過去問に取り組んだ。
以前食べたみそカツパンがすごくおいしかったので、また食べたいと思いコメダ珈琲店へ行ってみた。アイスコーヒーと一緒に注文して、巨大なみそカツパンを前にわくわくしながら食べ始めた。ざくざくに揚がったカツと甘めの味噌だれがとてもおいしくて、この味噌だれだけでも自分で作れたらなあと思った。3分の2を食べ終えた頃にはもうお腹がいっぱいで満足していたけど、それでも残すという選択肢はもちろんないので全部おいしく平らげた。シェアして食べてくれる人を見つけられない私のような人間は、胃袋が若いうちにこういう食べ物を満喫しておいた方が良いのかもしれない。
1300kcalの昼食を摂ったせめてもの罪滅ぼしとして、天神まで歩いて行ってぶらぶらして、一万歩以上歩いた(それによって消費したカロリーはわずか300kcalに過ぎない)。百均で買い物をしたついでにニトリを覗いてみたら、すごくかわいいアルパカのぬいぐるみと目が合った。大きめのぬいぐるみだけど税込999円というお手頃価格、そしてもふもふの白い毛並みは手触りが良く、顔立ちもとてもかわいらしい。すごく欲しくなって、店内を一周する間に頭を冷やそうと思ったけど、結局買ってしまった。持参した大きなエコバッグに入れたけど、アルパカ自体が大きいのでバッグの縁からかわいい顔がはみ出した状態で連れて帰った。一緒に散歩をしているような気分で楽しい。帰宅してから、アルパカのぬいぐるみにつける名前を考えた。Wikipediaでアルパカのページを見て、学名にある「ビクーニャ」という名前にすることにした。アルパカの鳴き声について「フェ~」と書いてあって、そのユーモラスな鳴き声も名前の選択肢として迷ったけど、最初に決めたビクーニャにする。なんだかかっこいいし。当のビクーニャさんは、かっこよさとは無縁のとぼけたかわいい表情をしている。
2024/11/09 Sat.
就労移行支援。文書の作成などに使えるデザインスキルについて学ぶ動画を視聴した。
帰宅して、明日以降の朝ごはんに食べるための野菜スープを作った。コンソメと塩胡椒で味付けをした。具材が多すぎて、スープというよりポトフのようになってしまった。野菜がたくさん食べられるから良いか。
2024/11/10 Sun.
月末に控えた東京旅行の計画を練り直した。その場で焦って調べなくても済むように、利用する公共交通機関についても念入りに調べて、食事を摂れそうな場所もある程度下調べをした。持っていく物のリストを作ったり、着ていく服を考えたり。旅行の準備って本当にわくわくする!
それから、ZINEの形にしてみたいと思っている原稿を作った。文章を書いて、写真も入れて、ちょっとした絵も描いて載せたい。自分が趣味としてやりたい創作が全部盛り込めるから、ZINEというカルチャーが流行っている時代で良かったと思う(それでなくても作りたいけど)。目安として締切を設けないと多分完成しないから、今月中に完成させられたらいいなと思っているけど、義務にすると途端にやる気がなくなるので我ながら塩梅が難しい。でも、私だけの本を作っている時間は本当に楽しい。子どもの頃も紙の切れ端で絵本を作ったりしていたから、その頃とやっていることはあまり変わらないのかもと思うと、少し愉快な気がする。