2024/12/30 Mon.
夜、私の足の上でとらちがぐうぐう寝ていた。起こしたくないので寝返りが打てず腰を痛めそうだったけど、それ以上に嬉しいし、何しろかわいいので仕方ない。
お昼に肉うどんを作ったら、うどんつゆにだしを入れ忘れた。白だしを少し足したらおいしくなった。
庭のさざんかの花を、飛んできたヒヨドリが食い散らかしていた。我が家の庭のさくらんぼを食い荒らす憎い奴だけど、赤い頬とぼさぼさの頭がかわいい。野鳥が飛んでくる庭があるというのは、やっぱりいいなあ。
きょうだい達が帰省してきてくれた! 元気そうでとても嬉しい。
2024/12/31 Tue.
父母ともようやく熱が下がる。調子の戻った母が例年通りおせちを作り始め、きょうだいの1人がそのアシスタントをしてくれていたので、その間に私は大量(5人分の冬服)の洗濯物を干したり畳んだり、軽く掃除したり片付けたりと他の家事をした。どうも、2024年も今日で終わりという感じがまだしない。
台所が空いた隙に、栗でなくさつまいもできんとんを作ってみた。少し柔らかすぎた気もするけど、裏漉しを頑張ったおかげでなめらかなおいしいものができた。
こうして長く帰省していると、福岡で一人暮らしをしていることを忘れそうだ。今も2階に上がれば、植物だらけの自分の部屋があるような気がする。
夜は、無理して年明けまで起きていることもないかと思って11時頃には布団に入った。寝る直前まで飲み食いしていたのでなかなか寝付けず、夢うつつの中ジルベスターコンサートのアイーダが聞こえた。ここに来て、ようやく大晦日だという実感が湧いた。
2024年の目標は、「頑張ろうとまた思えるようになる時まで、気力体力を温存しておく」というものだった。とても何かを頑張れそうという状態ではないので、頑張ってもどうにもならない時に無理して頑張ろうとしないための目標。いつかまた、頑張りたいと思える時が来るのかどうかは、正直なところ疑わしかった。自分に対する期待や信頼をなくしている。
治療へのモチベーションも、すっかり失ってしまった。どうなれば「治った」状態と言えるのか、そもそも自分の困りごとは治るものなのか、治さないといけないものなのか、昔ならはっきり答えられたことが今となっては全然分からなくなってしまっている。それでも、働いて経済的に親から自立したいという夢はどうしても捨てきれない。
臨床心理士になるという夢も、ようやく諦めがついた。通信制大学に編入した時は、確かに「もしかしたらできるかもしれない」という希望に満ち溢れていたはずなのに、この変化は何だろう。今後また何か別のことについて最初は「できるかも」と思えても、同じように無力感や劣等感でいっぱいになる時が来るんだろうか。でも、自分が思い描く心理士像にふさわしい「良い人間」にならなければいけないという自分へのプレッシャーがなくなり、悔しいことにほっとした部分もある。
一応、認定心理士の資格は取得しておいた。これで、「心理学の専門家として仕事をするために必要な,最小限の標準的基礎学力と技能を修得している,と日本心理学会が認定した人」ということになる。
障害基礎年金を受け取れることになり、遡及請求した分も口座に振り込まれた。「働けないから生きていけない、じゃあ死ぬしかない」という強迫観念が和らぎ、「この先も生きていけるかもしれない」と前向きに感じられるのが嬉しい。行政から「生きていていいよ」とでも言われたような気分。ただし、毎月6,7万円という額では経済的に自立した生活など営めるはずもなく、やはり家族に扶養されることなしに精神障害者が生きる選択肢は、国から想定されていないらしい。
通院している精神科では、以前から服薬しているアリピプラゾールに加え、トリンテリックスという薬が増えた。これを飲み始めてから、なんとなく日中の活動量が増えた気がする。
臨床心理士の先生によるオンラインカウンセリングも受けてみた。「話してみて良かった」と心底ほっとする時もあれば、言いたいことが伝わらずもやもやしたり、なんとなく引っ掛かるような物言いをされたりすることもある。ただ、全体的には「悪くはなさそう」という感じがする。いざという時に、お金さえ払えばプロに話を聞いてもらえるという安心感は大きい。
障害年金の遡及請求で自分にとって大きな額を手に入れたことで、それを資金にある程度の都会へ出て仕事を探し一人暮らしをするという夢の実現を試みることになった。自分にはどうせ無理だろうと思って周りには話していなかったものの、オンラインカウンセリングの中で臨床心理士の先生に背中を押されたことをきっかけに、親や主治医の先生に話してみると、意外にも反対はされなかった。メリットとデメリットを思いつく限り洗い出して考えた結果、チャンスがあるなら挑戦してみても良いのではないかという結論に至った。
実家にいれば生活はできるけれど、やっぱり親から経済的に自立したい。地方は車の運転ができないと仕事に就くことも通勤もかなり厳しくなるけど、都会に出れば車がなくても仕事もあるし通勤もできる。これまでのように仕事が長続きせずすぐに辞めることになっても、他に仕事はいくらでもある。どうせ老後も年金だけでは生活していけないし、だったら少しでも自活できるようになる可能性に賭けたい。一年前の夏は「普通に働けない」「治療を続けても人並みに働けるようになる訳ではないらしいことを認めたくない」と苦しんでいたのに対して、今年は「普通に働けないなりに、自分の望む生き方に少しでも近付こう」という風に考え方が変わってきている。同じ所でずっとぐるぐる回り続けているような気がしていたけど、少し時間を置いて見てみるとちゃんと変化はあるらしい。10年治療しても自分が理想とする「普通」になれないなら、もう自分にとっての「普通」を受け入れるしかない。
そうして、10月1日から福岡市内で一人暮らしを始めた。32歳の誕生日を、一人暮らしの部屋で迎えることができた。今は就労移行支援に通いながら、新しい生活に少しずつ慣らしている。
小さなトラブルやアクシデントもそれなりにありながらも、大学卒業後9年振りの一人暮らしを満喫している。自分一人のために料理を作り、自分一人が暮らす部屋を整え、自分一人が浸かる用に溜めたお湯で温まると、いかにも自分自身の生活を送れている満足感がある。夜に静かな部屋で本を読んでいる時、寒い日に温かい飲み物を飲んだ時などに、はっきりと「幸せ」を感じられる。あちこち出歩いて、買い物をしたり、美術館や植物園に行ったり、演奏会を聴いたり。よく歩くようになったので、体重も2ヶ月で3kg落ちた。
これから仕事を見つけられるか、働き続けることができるか、一人暮らしできるだけの収入を得られるかなどといった将来の不安は、もちろんある。けれど、今は「どうにかなるかもしれない」という希望を持っているし、現状まだ困ってはいない。「悩みや不安があるにはあるけど、まあ、なるようになるんじゃない?」という、数年前の私がなりたくてなりたくてたまらなかった境地に現在の私が至っているらしい。
「頑張ろうとまた思えるようになる時」は、ちゃんと来た。このまま現状の生活を続けていても何も事態は変わらないと思っていたけれど、良くも悪くも「何もかもがずっとこのまま同じ」ということはないらしい。それができないなら死にたいとまで思い詰めた「親からの経済的自立」という理想を叶えたいと願い、もしかしたらそれは実現できるかもしれないと自分の可能性を信じることができている。その状態が今後も長く続くとは限らないけど、状況というものは必ずしも不変ではないことを思い出すことができれば、気持ちが上向きになれない時もやり過ごせるのかもしれない。
2024年に読んだ本
2024/01/08『意識をゆさぶる植物 アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性』マイケル・ポーラン、亜紀書房
2024/01/24『クルミわりとネズミの王さま』ホフマン、岩波少年文庫
2024/01/28『布団の中から蜂起せよ アナーカ・フェミニズムのための断章』高島鈴、人文書院(再読)
2024/02/12『くらしのアナキズム』松村圭一郎、ミシマ社
2024/02/15『死ぬまで生きる日記』土門蘭、生きのびるブックス
2024/02/17『暮らしの図鑑 フィンランド時間 季節の北欧生活44×基礎知識×実践アイデア』吉田 Öberg みのり、翔泳社
2024/02/19『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』葉山莉子、タバブックス
2024/03/09『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』安達茉莉子、三輪舎
2024/04/20『脳のお休み』蟹の親子、百万年書房
2024/04/21『かわいいピンクの竜になる』川野芽生、左右社
2024/05/12『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』山口祐加、星野概念、晶文社
2024/06/22『長い読書』島田潤一郎、みすず書房
2024/07/28『生きのびるための事務』坂口恭平、道草晴子、マガジンハウス
2024/08/25『ワンルームワンダーランド ひとり暮らし100人の生活』佐藤友理、落合加依子、小鳥書房
2024/10/12『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス、新潮文庫
2024/11/07『ケルト人の夢』マリオ・バルガス=リョサ、岩波書店
2024/11/29『家父長制はいらない』 「仕事文脈」セレクション、仕事文脈編集部、タバブックス
(計17冊)
2025/01/01 Wed.
朝、皆でおせちとお雑煮を食べた。元々は、午後にきょうだい3人で祖母の家へ行く予定だったけど、きょうだいの1人が今朝発熱したのもあって、さすがに取りやめになった。
毎年元旦に撮る家族写真の撮影が終わってスマホスタンドを片付けていると、かつて隣家があった空き地に何か動くものが見えた。野良猫かと思って期待しながら窓の外に目を凝らすと、野生の雉だった。しかも、雄が3羽もいる。喧嘩をしている訳でもなく、まとまってのんびり歩いている。写真は撮り損ねたけど、珍しい光景に家族でわいわい盛り上がれて楽しかった。
2025/01/02 Thu.
ハンドミキサーがある実家にいるからと、チョコレートシフォンケーキを作った。薄力粉をふるうのをさぼったので少しダマになったけど、ふわふわでおいしかった。
2025/01/03 Fri.
すみっコぐらしの日本旅行ゲームで盛り上がる。私はビリだった。
インフルエンザに感染していない方のきょうだいが帰省を終えて戻っていくので、近くの新幹線の駅まで家族で送っていった。きょうだい2人が一度に戻ると寂しいけど、今回は1人ずつなので寂しさが薄れて助かる。
夜、両親とすっかり熱が下がったきょうだいと一緒に、お茶やノンアルコールのチューハイを飲みながらお菓子を食べておしゃべりして楽しかった。1人分空いたダイニングの椅子にはきょうだいの代わりにとらちが座って、おしゃべりを聴き時折撫でられながらすやすや眠っていた。
今年の目標は、「楽しそうなことは積極的にやる」にした。自分のような人間がやってはいけないのだと自分で刷り込んだ(あるいは世間から刷り込まれた)思い込みをなるべく退けて、楽しそうだと思ったこと、少しでも憧れを抱いたことには気軽に手を出してみようと思う。ZINE作りとか、編み物とか、パン作りとか、少し派手でかわいい服や小物を身に着けるとか。
2025/01/04 Sat.
七輪で色々焼いて食べた。市販のフランクフルトを炭火で焼いてケチャップをたっぷりかけて食べると、お祭りの屋台で売られているフランクフルトの味になっておいしい。
夜、なんだかしんどくなってしまって、AIが返事してくれるというメンタルヘルス系のサービスに書き込んでみた。案の定、返ってくる返事にイライラしてしまい、すぐにやめた。AIを用いたこの手のメンタルヘルスケアとはどうも相性が悪い。
2025/01/05 Sun.
もう1人のきょうだいも帰省を終えて戻っていった。インフルエンザの症状はほとんど治ったようでひと安心。
冬服がセールで安くなっていたので、ZOZOTOWNでいくつか注文した。せめてLサイズの服が着られるようになれば、安く買える服の選択肢が増えて助かるのだけど、人間が着るために作られた物(服)に合わせて人間が体型を変えるというのは順序が逆にしか思えずどうも釈然としない(今はXLを着ている)。
とらちが甘えてきてとてもかわいい。人見知りが強く繊細な性格のとらちが、私に対して喉をごろごろ鳴らしてしっぽを震わせながらまとわりついてきてくれて、懐かれている実感があってすごく嬉しい。