
2025/10/06 Mon.
祖母と二人で芋掘り。今年は芋自体は大きかったけれど、個数が少なかった。掘れば掘るほどみみずが出てきて、後から鍬で少し耕したらふかふかの土になった。昔はみみず一匹いない粘土やシラスの硬い地面だったのに、水害で山の腐葉土が流れ込んで以来、どうやら土の質が良くなりすぎたらしい。土は良くなったのに、さつまいもが育たないから素直に喜べない。でも、芋掘り自体はとても楽しかった。猫達も網戸越しに作業を監督してくれていた。
お昼ごはんは、祖母のアパートでごちそうになる。またしても二人分の食事とは思えぬ量のごはんが用意されていた。どれもおいしいので、力いっぱい食べた。午後は一緒にクロスワードを解いたり、アルバムの写真を見返したり。
夕方、道ばたで摘んできたエノコログサで猫達に遊んでもらった。とらふくの色々な表情が撮れて満足。猫ってかわいいだけじゃなくて、おもしろい顔もできてすごい。
夜、仕事の後に弦楽アンサンブルの練習に行ってきた父母と、おやつを食べながらおしゃべりした。我が家で「お茶会」と呼ばれている、不定期に開催される夜のこの時間がすごく好きだ。実際は、お茶を飲んでいるのは私だけなんだけども(父母は専らお酒)。
2025/10/07 Tue.
朝起きて、階段を降りる手前で猫達が足もとをうろうろする。かわいい。一階に降りられない。
帰省から戻る時は、猫達と離れるのが相変わらずすごく寂しい。この寂しさには未だに全然慣れない。ひたすら撫でて家を出た。5日間で230枚の猫の写真を撮った。高速バスで熟睡し、新幹線でも眠かったけれど、新大阪まで乗り過ごさずに済んだ。
マンションに戻ってキャリーを置き、就労移行支援へ。この日記を書いたのが一週間後だったので何をしたか忘れたけど、何かはした。15時に訓練が終わって帰宅。いそいそと荷解き。
2025/10/08 Wed.
就労移行支援で、読書と広報紙作り。
そのまま地下鉄と電車を乗り継ぎ、新宮のIKEAへ向かった。腹ぺこなので、レストランでお昼を食べる。フィッシュアンドチップスとキャロットケーキ、ドリンクバーのコーヒー。結構な量があってお腹いっぱいになった。2階から店内をのんびり見て回る。ダイニングのコーナーに、テーブルに置かれたプリンセストータがあった(多分、紙粘土か何かで作られている)。作り物といえどプリンセストータを実際に見るのは初めてなので、なんだか嬉しかった。屋外用の椅子やテーブルが並ぶコーナーで、こういう家具をベランダに置いて読書でもしたら楽しいだろうなと思った。私が住んでいる部屋は2階で、近くの建物に取り囲まれて眺めも悪いし、北向きだから日当たりも悪いしでベランダ読書には向かないけれど、憧れるものは憧れる。いつかはベランダ読書を楽しめる部屋に住みたい。クリスマス用の大きな星の形の照明がかわいくて、買って窓辺に飾りたい誘惑と闘った。お目当てのデスクライトと、珍しくて惹かれたミントの造花の鉢植えを買って帰宅。
2025/10/09 Thu.
今日は休みなので、九州国立博物館へ特別展「法然と極楽浄土」を見に行くことにした。駅のホームで電車を待っていると、韓国語を話す二人連れに電車の時間を訊かれた。翻訳アプリを入れておいて良かった! 電車が出る時間は伝えたものの、その後の乗り換えが心配だったので、お節介だろうかと悩みながら同じ電車の中で二人を探し、乗り換えがあることを伝えて乗り換え先のホームまで案内した。何時何分に出発する電車に乗って、何時何分にこの駅で降りてくださいと翻訳アプリ越しに伝え、そそくさと自分の乗る電車に戻る。日本語でお礼を言ってもらえて、嬉しくて恐縮した。無事に目的地へ着けていますように。
太宰府に着き、お昼ごはんに玉子丼(親子丼の鶏肉抜き)を食べる。絶対にだしと醤油の風味が素晴らしいはずなのに、それが分からなくてものすごく悲しい。
博物館は、平日にも関わらず人が多かった。修学旅行なのか校外学習なのか、小学生や高校生の団体も来ている。おもしろくてあれこれメモを取りながら、法然展をじっくり鑑賞した。展示の最後に、写真撮影可の展示品があった(仏涅槃群像(部分)江戸時代 17世紀 香川・法然寺)。釈迦を中心に、羅漢などの取り巻く人々がいて、象、かわうそ、かたつむりなどの生き物たちもいる。それらの像の真ん中に、ふくちにそっくりのぶち猫がいたので驚いた。まるまるとした身体、ふてぶてしい表情、太い手足。ふくちだ! ミュージアムショップで、この猫のぬいぐるみを買うか散々迷い、猫の写真がプリントされたブックマーカーを買った。本を開く度ににんまりしたふくちに出会えるブックマーカー。
常設展もゆっくり見て回った。展示されている収蔵品が、前回来た時とところどころ違っている。グリーンネックレスのような古墳時代のガラス玉、大宰府の地鎮の祭具として使われた水晶、蕎麦畑の絵が描かれた江戸時代の大皿などの写真を撮った。博物館に来ると、人類や文明の長い歴史を思って途方もない気持ちになる。同時に、知的好奇心を刺激されてとてもわくわくもする。せっかく電車一本で来られるのだから、今後も定期的に来たい。焼きたての梅ヶ枝餅を頬張りながら参道を歩き、電車に乗って帰宅。
2025/10/10 Fri.
就労移行支援。利用者さん一人一人に広報部のアンケートを配る。他にする人もいないので自分がこの仕事を担当しているけれど、自分から人に話しかけるという行為に結構なストレスを感じる。本当はやりたくないけど、やりたくないと言える度胸もない。模擬会社プログラムという、実際の会社での業務を想定した訓練に参加した。他の利用者さんと協力して業務を完遂するというもの。空き時間に色々な話題のおしゃべりが発生して楽しかった。
来月の沖縄旅行の計画を練る。沖縄県平和祈念資料館とひめゆりの塔の両方に行きたいと思っていたものの、それらがバスで30分かかるほど離れていることを知り、スケジュールの面でどちらかは断念することにした。斎場御嶽も行きたかったけど、これも交通アクセスを考えると時間的に厳しい。行ってみたい場所を諦めるのは悔しいけれど、旅の予定を組むのはとても楽しい。
2025/10/11 Sat.
就労移行支援の事業所の近くに、エンジェルストランペットが植わっている場所を見かけた。この辺りで見たのは初めてかもしれない。面接練習会に参加し、障害者採用の面接本番を想定した練習をする。特に駄目出しらしいことも言われず、それで却って拍子抜けした。褒めて伸ばすやり方なのかな。それはそれでありがたいけれども。
糸島市で気になるイベントをやっているので、行ってみることにした。地下鉄空港線が姪浜駅で普通列車に切り替わり、いつの間にか地上に出ていたのには驚いた。乗り換え案内アプリで「乗り換え不要」と書かれていたので不思議に思っていたけれど、こういう仕組みだったのか。バスを待っていたら、海外(東南アジア?)から来たらしい二人連れにバス乗り場を訊かれた。相手の話す言語が分からず翻訳アプリに頼れなくて内心慌てたものの、道路の向かいのバス乗り場に書かれた「Information」の文字を指さして読み上げることでなんとか伝わったらしかった。親指と人差し指をくっつけた「OK」のようなジェスチャーを笑顔でしてくれたので、同じ表情と仕草を返した。話す言語が違っても、こういう好意の込もったコミュニケーションのやりとりができたように感じられると、すごく嬉しくなる。自分もちゃんと社会的動物の端くれであるらしい。
志摩中央公園に着き、園芸イベント「THE BOTANICAL WORLD」を覗く。世の中には植物好きの人間がこんなにいたのかと思うほど賑わっている。アガベ、サボテン、コーデックス、コウモリラン、チランジア、盆栽、多肉植物、色々なかっこいい植物達がひしめいていて、私が名前を知らない植物もたくさんある。2万円や3万円のアガベに慄いていたら、24万円のコーデックスを見かけて驚いた。すごい世界だ。金魚すくいならぬ「多肉すくい」や、「アガベ釣り」といったコーナーもある。カラテアの吊り鉢に小さな白い花が咲いているのがかわいくて見ていたら、お店の人に話しかけられて少し会話をした。買おうかすごく迷ったけれど、既にシゾバシス・イントリカータの小さな鉢の誘惑に負けていたのでカラテアは我慢した。シゾバシスは初めて知る植物だったけれど、不思議な形の葉っぱに惹かれてつい買ってしまった。せっかくこういうイベントに来たからとキッチンカーのフードやドリンクを味わいたくなって、レモンスカッシュを買って公園のベンチに座って飲んだ。青空の下、涼しい木陰で風に吹かれながら飲むレモンスカッシュは本当においしかった。
高速バスに乗って帰路に就く。高速道路に乗るまでの間、バスの窓から色々な植物が見えて楽しかった。ルリマツリ、ハイビスカス ローゼル、芙蓉、アメジストセージ、コスモス、黄花コスモス。見たことのないオレンジ色の小さな丸い実が生っていると思ってよく見ると、デュランタの花が枝先に残っていた。デュランタって、ああいう実がつくのか! ひとつ知識が増えて嬉しい。夜、ブラウザでXのおすすめタイムラインを見ていたら、たまたまデュランタの実の画像が流れてきた。奇遇。
2025/10/12 Sun.
朝ごはんはコーヒーと目玉焼き、ラズベリージャムのトースト。今日は私の誕生日で、33歳になった。また一年生きたことに対して後ろめたさや惨めさを感じることなく誕生日を迎えられることがとても嬉しい。
咲くやこの花館の植物プリントTシャツとショクダイオオコンニャクのキーホルダーを身に着け、園芸イベント「FUKUOKA GREEN PARTY」へ向かう。会場は昨日と同じ、糸島市の志摩中央公園。今日も賑わっている。30万円のグロボーサを見かけて驚愕する。アガベのイラストが描かれたTシャツを着ている人を二人も見かけた(多分、探せばもっといる)。すれ違う人の多くが、購入したらしい植物の鉢を手にしている。こんな世界があるのか。会場をうろうろ見て回り、タコスやスパイスカレー、チャイの誘惑に負けたくなるも、バスの時間に間に合わなくなるからと断念した。
福岡市内に戻り自分用の誕生日ケーキを買い、マンションに帰って冷蔵庫に入れた後、美容室に行った。ここ最近ずっと髪をうんと短く切りたいと思っていたので、美容室でカットの予約をしておいたのだった。ところが、こんな感じのショートにしてほしいと画像を見せて切ってもらったものの、カットが終わった時点でどうもイメージと違う。髪が膨らんで、正面から見ると横に長い楕円形のようなシルエットの頭になってしまっている。でも、美容師さんはこれで完了といったような様子だし、美容室に苦手意識のある自分が「やっぱり切り直してほしい」と言い出せる訳もなく、納得したような素振りを見せてお金を払って帰った。だけど、帰宅して鏡を見ても、やっぱり変だ。どうやら自分の髪質に合わない髪型をオーダーしてしまったらしい。情けないやら何やら。
とはいえ誕生日ケーキはおいしかった。子どもの頃から「食べられる赤い実」に目がないのだからと、3つともベリーのケーキを選んでみたらこれが大正解だった。いちごのショートケーキは、ホイップクリームがかなり甘さ控えめで、すごくあっさりしていて軽い。スポンジも軽くてふわふわだった。ラズベリーのケーキはラズベリージャムの層が甘酸っぱく、これも甘さが控えめなマスカルポーネチーズのムースとよく合う。飾られているすぐりも酸っぱくておいしい。カシスのケーキはカシスのムース部分が特に酸味が強く、レアチーズのムースも上品な甘さでおいしい。いちごにしては小さいと思ったら、てっぺんに載っているのは粉糖をまぶしたラズベリーだった。全体的に甘さが控えめ、酸味は強めで、食感も軽くて食べやすい、大人向けのケーキだと思った。
食い意地が張っているから、自分用の誕生日プレゼントは憧れのクッキー缶にした。太陽ノ塔洋菓子店のタイヨウノカンカンという商品で、クッキー缶とは思えぬほどずっしりと重たい缶に10種類のクッキーがぎっしり詰まっている。見ているだけで気分が浮き立つし、食べるのがもったいないくらいだ。食べるけど。
