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週間日記(2025/10/13-10/19)

2025/10/13 Mon.

 たかが頭部に生えている毛といえど、鏡を見る度に気分が沈んで外出するのに気後れするようでは良くないと思い、昨日とは違う美容室で切り直してもらうことにした。昨日の今日で同じ美容室に行くのは気まずいし、同じ美容師さんだったらまた同じような羽目に陥る可能性もある。当日予約ができる美容室でさらに短くカットしてもらって、ようやく落ち着いた。ひと安心。
 午後は、チケットをもらっていたオーケストラの演奏会を聴きに行った。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」と、ショスタコーヴィチの交響曲第5番「革命」の2曲というプログラム。どっちも聞き慣れた好きな曲だから嬉しい。特にショスタコーヴィチは大好きなので、吼える金管や暴れるパーカッションに大興奮だった。ただただ音楽を聴くだけの贅沢な2時間を過ごした。クラシック音楽というと世間一般的には退屈で眠くなる音楽がイメージされるのかもしれないけど、こういう血沸き肉躍る壮大な交響曲こそ個人的に好きなクラシックだと思う。楽しかった!

2025/10/14 Tue.

 昨夜、お風呂に入って髪を乾かした後、毛沢東のように髪が盛り上がってしまって、どうしたことかとまたしても途方に暮れていたものの、今朝はドライヤーだのヘアバームだので押さえに押さえつけて辛うじてなんとかなった。もう髪の毛ごときで悩むのはうんざりだ。
 お弁当を作る。いんげんの肉巻き、卵焼き、ほうれん草のごまあえ、にんじんと椎茸の煮物、鮭フレークごはん。
 髪をばっさり切ったので、就労移行支援に行くと色々な人からびっくりされたり褒められたりで、嬉しいやら照れるやら。
 模擬会社プログラムで、利用者さん数人と協力して業務を進める。けっして気を遣えている(気が利いている)訳ではないのに、過剰に気を遣ってしまっている。
 幸せとは何かと訊かれたら、今度から「クッキー缶」だと答えたい。自分への誕生日プレゼント用に購入したクッキー缶のクッキーが、それくらいおいしい。どのクッキーも風味や食感が異なって食べていて楽しい。気を抜くとどんどん食べ進めてしまう。ココナッツ味のお菓子は嫌いな訳ではないものの、普段選択肢にあっても選ぶことはない。ところが、このクッキー缶のココナッツクッキーはガレットと首位を争うレベルでおいしい。独特のざくざくとした繊維質な食感がくせになる。良いプレゼントを買ったなあ。

2025/10/15 Wed.

 就労移行支援。今日も模擬会社。人と関わることに疲れてしまって、働ける自信がますますなくなる。今週の就労移行支援はうっかり週5日連続通所のスケジュールにしてしまい、そのうちの2日目にしてもう疲れている。
 午後は皮膚科に行き、ニキビと手湿疹の薬を処方してもらった。どの季節も好きなので当然冬も好きだけど、この季節には手湿疹ができるのが困る。
 せっかく近くに来たからと、おしゃれな生活用品や雑貨を扱っているお店を覗いた。私の生活では縁がない上等な調理器具や食器などを眺める。葉っぱの形のお皿がとてもかわいかったのでそっと裏返して値段を見てみると、私が日頃使っている食器のそれより一桁多かった。ラズベリー柄の薄手の大判ハンカチを見つけ、こちらは割と手頃な値段だったので衝動買いしてしまった。食べられる赤い実の中でもラズベリーは特に好きだし、ラズベリー柄の小物はなかなか珍しい気がする。ところが、帰宅してレシートを見てみたら、ラズベリーではなくブラックベリーと書かれていた。ブラックベリーもおいしいから良いか。

2025/10/16 Thu.

 お弁当を作る。いんげん肉巻き、卵焼き、きんぴら、小松菜ごまあえ、ふりかけごはん。今週は2日続けて終日通所。
 就労移行支援で認知行動療法のワークをしたり、模擬会社プログラムに参加したり。やっぱり複数人の人が聞いている状況で話すのは緊張する。
 帰りに病院へ寄り、インフルエンザの予防接種を受けた。昔はもっと痛みに過敏で、注射となると今よりずっと怯えていたけれど、ここ数年はなぜか感じる痛みのレベルが低くなっている気がする。感覚が鈍くなったのか、耐性がついて慣れたのか。気のせいかもしれないけど、精神科でカウンセリングを受けて不安が和らいでいくのと同じタイミングで痛みに対して(人並みに)強くなってきたので、関連があったら嬉しいなと勝手に思っている。

2025/10/17 Fri.

 就労移行支援。スタッフさんと面談があって、将来どういう生活や生き方をしたいか尋ねられた。どんな内容でも良いとのことだったので、咄嗟に口から出た「おもしろおかしく暮らしたい」という言葉をスタッフさんがそのままパソコンに打ち込んでいた。昔、精神科でカウンセリングを受けていた頃にも、将来のことを訊かれて似たような回答をした気がする。
 初めて福岡県立美術館へ行ってみる。公園内の芝生が青々していてすがすがしい。高島野十郎展のパンフレットを他の美術館で目にして、すごく好きな感じの絵だと思ったので興味を持ち、今日はそれを見に来た。ゆっくり展示を見て回る。とにかく絵がうますぎる! 写実的で繊細な絵も、ゴッホのように背景が揺らめく雰囲気の絵も、何でも描ける。蝋燭や太陽の光の表現もうまいけれど、室内の暗がりや夜空の闇もうまい。個人的に、植物の絵が多いのも嬉しい。好きな絵だと思える作品にたくさん出会えて幸せだった。
 グッズも充実していて、ポストカードの種類が豊富で選ぶのが大変だった。芥子の絵の2枚もすごく迷って、結局からすうりと菜の花、れんげ畑、さくらんぼの絵を厳選した。クリアファイルもかなり迷ったけど、今回は我慢した。欲しいグッズがありすぎて困る。買うつもりのなかった分厚い図録と、祖母へのおみやげにと羊羹を買った。図録の値段に最初は渋ったものの、今ここで買わなかったら今後は同じものを買う機会がもうないのだと思うと、買わざるをえなかった。せっかく好きな画家だと思える人物に出会えたのだから、と己に言い聞かせる。図録を買うと、不織布のトートバッグをもらえた。桜と菜の花の2種類から選べたので、ポストカードでも買った菜の花の絵の方にした。見ていると菜の花独特の匂いが漂ってきそうで、もう春になったのだと脳が勘違いしそうになる。
 美術館を出たところで、ちょっと高島野十郎の絵の感じに似た太陽が木立の隙間に覗くのが見えて、妙に嬉しかった。ぼんやりと光っている様子が似ている。ものすごく歩き疲れてしまって、帰り道の30分を歩くための英気を美術館喫茶室で養おうか迷って、今日のところは寄らずに頑張って歩いて帰った。

2025/10/18 Sat.

 就労移行支援で、志望動機の書き方について学ぶプログラム。
 午後は博多駅に行き、帰省用の新幹線と高速バスの切符を発券した。母に頼まれていたパンの材料も富澤商店で購入。とらふくのおみやげにと、ペット用品店でまたたびの小枝も買ってみた。観葉植物も売られていて、まんまるの烏羽玉があった。帰り道、道沿いの花壇にピンク色のカンナが咲いているのを見かけた。カンナというとオレンジ色のイメージなので、ピンクは珍しい気がする。かわいい。
 初めての5日連続通所を終えた解放感からか、やたら気分が浮き立っている。

Blueskyから
・自分一人で思い立ったら気軽に美術館博物館植物園へ行ける環境が本当に素晴らしすぎて、ここで暮らし続けるためなら就労移行支援もこの先の労働も多少頑張れるかもとさえ思える
・地元だと車の運転ができない人間は何かしらの問題や欠陥があるのだと思われたり(私個人に関してはあるにはある)、一人前の大人としてみなされなかったりするけど、ここだと車の運転ができなくても普通に扱ってもらえるし生活していくこともできる 環境って大事だな…
・それはそれとしてとらふくに会いたい

2025/10/19 Sun.

 9時間睡眠に勝る疲労回復法はないなとしみじみ思う。よく寝た。外に出ると涼しくて、秋が来たことを実感した。マンション前の欅らしき木の幹に生えたサルノコシカケが、着実に生長している。
 六本松の護国神社の近くを通ると、2匹の大きなスズメバチが辺りをゆっくり飛んでいた。蜂に遭遇したらかがんでゆっくりその場を離れるものだと聞いたことはあるけれど、やっぱりいざとなると慌てて逃げてしまう。花壇におしろい花の黒い種がいくつも実っていた。小さい頃、これで「お弁当」を作る遊びが好きだった。おしろい花の種の殻を爪で半分に割り、片方の殻に薄皮を剥いたおしろい粉を詰め、ごはんに見立てる。えんじ色のおしろい花の花びら、黄色いハルジオンやヒメジョオンの花芯、緑色の葉っぱをちぎったものをおかずとしてごはんの脇に添える。もう片方の殻をお弁当箱の蓋にして、「お弁当」の完成。誰かに教わったり、本で見たりした記憶はないので、自分で考えた遊びなのかもしれない。
 福岡市美術館に着き、特別展「珠玉の近代絵画─『南国』を描く。」を見た。大きなアガベの傍に毛艶の良い黒猫がいる絵や、いちじくの木陰でふくちそっくりのぶち猫が眠る絵が特に好きだった。大きな屏風に描かれたかぼちゃの葉がすごくうまくて、なるほどかぼちゃの葉はこう描けば良いのかと勉強になった。日本はかつて「南国」を侵略した前科があるので、ちゃんとそういった歴史に触れて反省を交えながら展示するのだろうかという心配は勝手ながらあった。ここで「南国」とされている国や地域にルーツのある方が嫌な思いをしなくて済む展示になっていると嬉しい。
 美術館を出て、大濠公園の池に沿って雑木林のような道を歩く。この空間が本当に気持ち良くて、歩いているとみるみる心が癒やされていくような気がする。
 舞鶴公園のフリマを覗く。花壇にはコスモスやポーチュラカ、メランポジウムの花が咲いている。キッチンカーのスパイシーチキンビネガーカレーを買って、持ってきた小さなレジャーシートを芝生の一角に敷き、ささやかな一人ピクニックをしてみることにした。レジャーシートを敷いている人達は他にもいて、よく見ると一人で過ごしている人もわずかながらいる。カレーは鶏肉が柔らかく煮込まれていて、名前の分からないいくつかのトッピングも様々な風味や食感が楽しめてすごくおいしかった。雨のぱらつきそうな曇り空ではあるけれど、外で食べるとよりおいしい。歩き疲れた時に、椅子ではなく地面に座り込んで休憩すると、足がすごく休まることを知った。
 大濠公園の池に沿って歩く。池の向こう岸から、トランペットかホルンか、金管楽器が練習している音が聞こえてくる。柳の枝がそよそよと風にそよいでいる。六本松の蔦屋書店を眺め、六本松421内のお手洗いに寄った。トイレ待ちの列に並んでいたら、トイレットペーパーの補充をしに来た掃除の方となんとなく会話が始まった。「お疲れさまです」と伝えると向こうが笑顔を見せてくれたので、自己満足ながらなんだか嬉しかった。器の展示を見に行ったり、手芸屋に寄ってかぎ針を買ったりして帰宅。雨が降り出す前に帰り着くことができて良かった。今日の歩数は15,000歩を超えた。地図アプリを見ずに勘で歩いて目的地と真逆の方向に行くということを繰り返してしまい無駄に稼いだ歩数も少なくないものの、自分のような神経質な人間が気ままに歩き回れた解放感のようなものの方が嬉しい。
 夜、とらふくが柿にちょっかいを出している動画が母から送られてきた。特にふくちが、初めて見る植物に興味津々だった。私に似て植物好きな猫。