苗床

菌床じゃないよ

週間日記(2024/01/29-02/04)

 

2024/01/29 Mon.

 洗濯やら台所仕事やら片付けやら、ひたすら家事をしていたら2時間くらい経っていた。精神科の薬を増やしてから、なんとなくだけど前よりも日中に動けるようになったような気がする。気のせいかもしれないけど。

 

2024/01/30 Tue.

 珍しく少し身体を動かしてみようかという気持ちになり、YouTubeの動画を見ながらラジオ体操やエクササイズ、バレエのバーレッスンをやってみた。バレエは子どもの頃に8年くらい習っていたけど、レッスンの内容や雰囲気はあまり覚えていないと思っていた。でも、バーレッスンの動画を見ながら真似をしていると、「肘が下がっている」とか「(手・指先を)遠くに」とか先生に言われていたのをふいに思い出した。バレエをやっていたはずなのに身体はものすごく固いし(バレエ教室でも私より固い人はいなかったと思う)、子どもの頃から現在に至るまでずっと猫背だし、小中高の体育のおかげで身体を動かすこと自体大嫌いになってしまったけど、やっぱりバレエはいいなと思えた。記憶している限り、人生で初めてきれいだと感じたものは、バレエの発表会で見た「くるみ割り人形」のコーヒーの踊りだった。薄紫色のひらひらした衣装をまとって踊る研究科のお姉さん達が本当に美しくて、ウイスキーボンボンの一人として袖にいた幼稚園児の自分は惚れ惚れしていたのを覚えている。レオタードなんてとても着れなくなったから、もうバレエを習いに行くことはないと思うけど、バレエを見て素敵だと感じられる心は持っていたい。

 

2024/01/31 Wed.

 昨日身体を動かしたせいか、朝から結構な痛さの筋肉痛に見舞われた。日頃の運動不足ぶりが思い知らされる。

 書かなければと思いながらずっと手をつけずにいた書類をやっと書いた。証明写真を撮り、郵便局で審査料を振り込み、何枚かの書類に記入して、一式まとめて発送した。不備がなければ、認定心理士の資格が得られるはず。多分。少なくとも現在の状態の自分が心理職に就けるとはもはや到底思えないから、資格を得たところでどうということもないけど(そもそもこの資格自体就職に結びつくものではない)、せっかく編入した大学を卒業したのだから取れる資格は取っておかなければならない。3年前は、まさかこんなことになるとは思ってもみなかったのにな。

 

2024/02/01 Thu.

 歯医者に行った。前回の定期検診で「怪しい」歯があったので、今回レントゲンを撮って見てみた所、とりあえず治療が必要な虫歯はないらしいことが分かった。いつも定期検診に行くと必ずと言って良いほど虫歯が見つかるけど、今日は大丈夫だったので内心驚いた。虫歯が見つかると数回続く羽目になる通院も、前回と今回の2回で済んだ。良かった。

 帰りにスーパーへ寄り、傘と自分用のバレンタインチョコを買った。傘は無色透明のビニール傘になずなの花のイラストがプリントされたもので、チューリップとミモザと迷って、珍しいのでなずなにした。チョコは、アイリッシュコーヒーをイメージしたチョコが入っているモロゾフのものにした。パッケージが夜空のようできれいなのも良い。食べるのが楽しみ。

 

2024/02/02 Fri.

 録画していたドラマ「作りたい女と食べたい女」を、シーズン1からシーズン2の最新話まで一気に観た。シーズン1は最初に放送された時に全話観ていたけど、あらためて見返してもやっぱり良いドラマだった。安心して楽しめるレズビアンの物語だというのももちろん、化粧っ気がなく、あまりにこにこもしない女性キャラクターがメインキャラとしてドラマにいるというのもまた嬉しい。テレビに映る女性というのは専ら画一化された基準に沿った容姿の人が主で(アナウンサーとか)、そうでない人は「ネタ枠」として笑いやイジリの対象となる場合が多いように感じる。そうしたテレビからの刷り込みのおかげで、「かわいい」「きれい」ともてはやされる容姿でいつもにこにこ愛想よく振る舞う若い女性こそ女性のあるべき姿で、それに当てはまらない女性はその容姿を含めてイジってよいという忌まわしい風潮が助長されてしまっている。だから、愛想だの愛嬌だのがあって華やかな化粧と服で装った華奢な体型の女性「ではない」春日さんが、ネタ枠なんかじゃなくドラマの重要なメインキャラとして活躍していることが本当に嬉しい(春日さんには春日さんのかわいらしさがあり、それは野本さんが一番よく知っていることは置いておいて)。その他にも、生理の事情や男性との賃金格差など、原作にある話題をそのまま扱っているのも安心できる。私と同じ社交不安症のキャラクターが今後出てくるので、この病気についての視聴者からの無理解や偏見に満ちた感想が自分の視界に入ったらどうしよう、ということだけ心配している。

 

2024/02/03 Sat.

 家事をあれこれ済ませた後、レモンを使ってロールケーキを作った。バターでなくサラダ油を使うスポンジケーキかと思って作り始めたけど、油も使わないビスキュイ生地だった。良い感じにふわふわに焼き上がった。クリームを塗って巻くのが本当に難しくて、ロールケーキらしい渦巻き模様は作れなかったので、またそのうちリベンジしたい。できあがったロールケーキは、すりおろしたレモンの皮を入れたビスキュイとレモン果汁たっぷりのレモンクリームとがよく合って、酸味が効いたとてもさわやかな味でおいしかった。

 

2024/02/04 Sun.

 両親が地元のアマチュア吹奏楽団の演奏会の本番に行っているので、日曜だけど家には私一人だった。もし私が社交不安障害になっていなかったら、さらに水害でオーボエが泥水に浸かっていなかったら、私も演奏会に参加していたかもしれない。もし楽器が無事で手元にあったとしても、今の自分では人前で楽器を吹く勇気は到底出ない。楽器に触れることすら、過去の嫌なできごとの数々を思い出して苦しいと思う。指揮をする父はとてもかっこいいので見に行きたい気持ちもあったけど、車の運転が怖すぎてできない自分には遠方のホールへ行くのは無理だ。必ずしも親が望むように楽器や音楽を楽しめる人間になる必要はなく、親の期待や理想通りの子になれなくても良いのだと思って自分を納得させたいけど、どうしても罪悪感や自己嫌悪、自責の念などが湧いてしまう。もしも私が社交不安障害じゃなく、過剰な緊張や疲労を伴うことなく「普通に」人と接することができていたら、楽器をやって演奏会のステージに立てて、就労してひとつの仕事をある程度続けることができて、家族以外の他者と親しい関係を築けていたかもしれない。どうしてこうなっちゃったんだろうなあ、と飽きるほど考えたことを蒸し返して考える。

 用事を済ませるために、散歩も兼ねて歩いて出かけた。タイヤに空気を入れるのが面倒くさいので、自転車には随分乗っていない。冬が過ぎ去ったみたいに暖かくて、薄着で平気だった。たんぽぽ、菜の花、水仙、梅、ほとけのざ、なずな、オオイヌノフグリ、タネツケバナなどが咲いていた。からすのえんどうも茂り始めていたけど、花はまだだった。

 夜、スマホを持ち込んで長風呂をした。安達茉莉子さんの連載「むき身クラブへようこそ」を読んで、自分自身と向き合うことで時間をかけて楽になろうとする試みがとてもいいなと思った。私は自分の問題を臨床心理士によるカウンセリングや心理療法なしには解決できそうにないものだと決めてかかっていたので、こうしたやり方は目から鱗だった。私も「むき身」になることを目指してみたい。とはいえ無防備な状態になるのはやっぱり怖いのでその境地への道程ははるか遠く、殻の隙間から外の世界をおっかなびっくり覗いているのが今の自分だけど、「むき身」の状態でただ存在していられたらどんなにいいだろうと強く憧れている。良い臨床心理士の助けなしには自分は楽になれないのだという思い込みが「むき身クラブ」のおかげで剥がれ落ちたように感じたので、最初の一歩らしきものを踏み出せたような気もする。