苗床

菌床じゃないよ

週間日記(2024/02/05-02/11)

 

2024/02/05 Mon.

 人と話すことがあまりに苦手なので練習しようと思い立ち、見ず知らずの人とランダムに通話できるアプリをインストールして話してみたものの、これが大失敗だった。相手は自分の年齢より親の年齢に近いおじさんで、ひたすら持論を展開するおじさんのマンスプレイニングに相槌を打ち続ける羽目になってしまった。しかも、出会い系ではないので露骨に性的な話題は禁止だというアプリのルールを素直に信じた私が愚かだった。色っぽい会話を楽しみたいおじさんと、他人と話す経験値を積みたい私とではまるで需要が噛み合わない。そのうえ、まだ話したがっているだろうと思われる相手との会話を切り上げる会話のスキルを私が習得できていないことが災いして、おじさんが話し飽きるまで延々と気のない返事を繰り返した。通話が終わるとぐったり疲れて、この世で最も不毛な30分を過ごしてしまったと激しく後悔した。こんな不愉快な思いをしてまで練習するくらいなら、話すのが一生苦手なままでいいやと思えるほどだった。その点では、現状の自分を受け入れられるようになるきっかけのひとつくらいにはなったかもしれないけど、あまりに嫌な体験だったので、なんだか心の内側に汚い物がべったり貼り付いたような気持ち悪さを覚えている。馬鹿なことをしたなあ。

 

2024/02/06 Tue.

 スーパーへ買い物に行ったら、顔見知りの店員さんに話しかけられた。こちらはやはり話すことに苦手意識があるので、やや挙動不審気味になってしまった感は拭えないけど、「久し振り」「元気?」と親しげに気遣ってくれるのがくすぐったくて嬉しかった。数年前まで知り合いに遭遇することをあれだけ不安がっていた私が、知り合いに話しかけられて嬉しさを覚えたというのもまた嬉しい。人に優しく接してもらえたのが本当に嬉しくて、昨日のぐちゃぐちゃになった気持ちが癒えたような感じがした。

 

2024/02/07 Wed.

 美容室に髪を切ってもらいに行った。私のメンタル系の病気について「元気そうに見える」「病気に見えない」、「今は相手の受け取り方次第で何でもパワハラ、セクハラになる」「男性ばっかりだとそうでもないけど、女性ばかりの職場は雰囲気が悪くなる」等々、もやもやする発言がいくつもあってげんなりした。もし他にもっと良い美容室があればそっちに通いたいけど、地方で車を持たないとなると選択肢はごく限られる。これはもう選挙と同じだと考えて割り切ることにした。ベストな候補はいなくても、ベターな候補、まだましだと思える候補を選ぶ。カットやシャンプーの技術、値段、美容師さんの人柄、家からの距離など諸々の条件を総合して比較すると、やっぱりここの美容室が一番通いやすい。気持ちはもやもやしているけど、襟足を少し刈り上げてもらって髪はすっきりした。

 夜に散歩。5,000歩ほど歩いて達成感。

 

2024/02/08 Thu.

 朝、自分で髪をブローすると、昨日はいい感じだった頭が古代ローマの皇帝みたいな髪型になってしまった。前髪を分けた状態をなんとしてもキープしなければ。

 『くらしのアナキズム』の続きを読んだ。今まで社会から刷り込まれてきた価値観がひっくり返されて、なるほどと頷く内容ばかりでとてもおもしろい。

 今日も夜に少し散歩。

 

2024/02/09 Fri.

 障害基礎年金の年金支払通知書が届いた。支払われる具体的な年金の額が書いてあって、遡及請求した分と合わせて初回は約410万円もらえるらしい。びっくりした。その後は、偶数月に13万円ずつもらえるようだ。家計を圧迫する罪悪感からいくらか解放されて、自分で自由に使える一定の額が確保できるのは本当にありがたい。これでオンラインカウンセリングを継続できる。何よりも、「働けないから生きていけない、じゃあ死ぬしかない」という強迫観念が和らぎ、「この先も生きていけるかもしれない」と前向きに感じられるのが嬉しい。ただ、毎月6,7万円という額では自立した生活など営めるはずもなく、やはり家族に扶養されることなしに生きる選択肢は用意されていないのだなと感じた。私はたまたま親との関係が良好だったけど、もし親を頼れない場合はこの額でどうやって生きていけというんだろう。

 いつまいたのか忘れたレモンの種が芽を出していた。アゲハチョウの餌食になるのが嫌だから屋外での栽培はしないつもりだけど、もし家の中でレモンが収穫できたら最高だな。庭のすみれやシクラメンも次々に花を咲かせている。

 夜、指揮者の小澤征爾さんが亡くなったことを父から聞いた。父は演奏会の本番などではステージに楽譜を持ち込まず、暗譜して指揮をする。祖母(父の母)いわく、小澤征爾さんのやり方に倣っているらしい。楽譜を2ページめくってしまって焦った経験があるからだと父自身は言っていたけど、父が高校時代まで過ごした部屋には小澤さんの写真が額に入れて飾ってあったので、祖母が言うことも合っているのかもしれない。


2024/02/10 Sat.

 洗濯をしたり掃除機をかけたりと家事をやっつけた。お昼にありあわせの材料でトマトソースのオムライスを作った。

 少し遠いスーパーに行ったら、地元産の白菜やキャベツ、蓮根などの野菜がたくさん売られていた。ここのスーパーの野菜売り場はいつも季節感があっていい。いちごはまだ高かった。

 夜、両親がそれぞれ飲み会へ行ったので、湯船にお湯を張ってたっぷり長風呂を楽しむことにした。ノンアルコールの檸檬堂、クナイプの入浴剤(レモングラス&レモンバームの香り)、キャンドル、チャック付きポリ袋に入れたスマホを持ち込んで、1時間ほど湯に浸かっていた。静かなBGMを流して、薄暗い浴室でゆらゆら揺れる炎を眺めていると、かなりリラックス効果があるように感じた。キャンドルの火は割とすぐに消えてしまったし、檸檬堂も量が多くて飲みきれなかったうえ、結局スマホでTwitterを眺め出したので台無しではあったけども。夜はキューピーコーワヒーリングを飲んで寝た。


2024/02/11 Sun.

 用事で遠出する。日頃出かけるのは地元のスーパーや病院くらいなので、おでかけ用の服を着て山を越えた先に出かけられるのがとても嬉しい。今年はよくスカートを着ている気がする。山の民だから、普段見ることのない海を眺めてはしゃいだ。ハマボウフウらしき植物が生えていて、これも私にとっては珍しかった。時間があれば砂浜に下りて貝殻でも拾ってみたかったけど、あまりに風が冷たかったのもあって断念した。大きいサービスエリアに寄るのもわくわくする。サービスエリアで売っている食べ物って、なんであんなにおいしそうに見えるんだろう。たこ焼きを買って食べたら、生地の表面がさくっとしていておいしかった。久し振りに梅ヶ枝餅も食べた。一人で九州国立博物館と太宰府天満宮へ行った時に、梅ヶ枝餅を買い食いしたのがとてもおいしかった思い出がある。いつかはまた一人でどこかへ旅行してみたい。